ガーネットは和名 柘榴石といいますが、その由来は柘榴に似ているから。
さてこの柘榴、ギリシャ神話の中の女神デメテルのお話に出てきます。
阿刀田高さんの著作で知ったのですが、ちょっと面白いのでそのお話を・・・。
収穫をつかさどる女神デメテルには、美しい娘ペルセポネがいました。
しかしある日、ペルセポネは冥府の王ハデスにさらわれ、無理やり妃にされてしまいました。
収穫の女神である母親のデメテルは、悲しみにくれてしまいます。
そのため、地上の作物は枯れ果て、飢饉が起きてしまいました。
そこで神々の王 ゼウスがペルセポネを地上に戻すよう取り計らってくれます。
しかし、ペルセポネはその時冥府の食べ物を食べていたため、地上の人には戻れなくなっていました。
一度冥府の食べ物を食べてしまったら、もう完全には地上には戻れないという掟があったのです。
冥府の王ハデスは、デメテル・ペルセポネ母娘を哀れに思ったのでしょうか、一年の三分の二は地上で母娘が一緒に暮らせるようにしてくれました。
しかし、残りのは三分の一は離れて暮らすことに。
そのため、収穫の女神デメテルが娘と共に暮らせる三分の二の期間は、春から秋となり、地上に花が咲き、作物が豊かに実ります。
しかし、離れて暮らさないといけない三分の一の間は、デメテルの悲しみのため、季節は冬となってしまうというお話。
このペルセポネが冥府で食べた食べ物というのが、柘榴です。
柘榴石といわれるガーネットにも、いろいろな歴史・伝説があります。
古代エジプトの王ファラオの装身具にガーネットが使われています。
旧約聖書のノアの箱舟のお話にもガーネットは出てきます。
神は人間の堕落した行いに怒り、大洪水をおこしてしまいます。
「神と共に歩んだ正しい人」ノアだけは、箱舟で洪水を逃れることを許されます。
ノアは家族とつがいの動物を箱舟に乗せて、40日40夜続く洪水を逃れ、生き残ることができました。
その洪水の間、暗闇を照らし、行く先を指示してくれたのが、ガーネットの輝きだったというお話。
中世の十字軍の時代、兵士たちは戦地に赴く際にガーネットを身に着けていたともされています。
ガーネットのあの深い赤は、血の輝きとされ、そのためガーネットが負傷などから身を守ってくれると信じられていたようです。
このガーネットの血のような赤い色は、「血族の証」として、中世ヨーロッパでは王家の紋章などの装飾にも使われているそうです。
ほかにも、ガーネットをプレゼントすると、送られた人に幸福が訪れる、反対にガーネットを盗んだものには大いなる不幸が訪れるという言い伝えもあるようです。
古い歴史と伝説を持つ。深紅の美しい宝石、ガーネットです。
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